盛岡タイムスに掲載された記事
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紫波町日詰小(村上政悟校長、児童440人)
で25日全盲の作曲家でバイオリニストの穴澤雄介さん(38)千葉県を招いた
「命の授業」が行なわれた。穴澤さんと交流のある北上市の笹原留似子さん(4
1)、穴澤さんと連携して病院の患者を対象に演奏会を開いている大分県のパセ
リの会(渡邉陽子代表)の協力を得て実現したもの。穴澤さんは盲目でもバイオ
リンを続けてきた人生を振り返りながら、諦めずに自分を信じ続ける事の大切さ
を子供達へ伝えた。穴澤さんは小学5年生の頃から少しずつ目が見えなくなり、
高校生から点字、杖を利用するようになったという。「バイオリンは5歳から習
っていたが、練習は好きじゃなかったし、先生の話もきかず、全く上達しなかっ
た。中学時代には、一度あきらめている」と話す。目が見えなくなっていったと
き、一生懸命できるものとして考えついたのがバイオリン。「天才的にバイオリ
ンがうまいわけでもない。目が見えず、楽譜も読めない。すごく落ち込んだ時期
もあった。でも、楽譜が読めないなら作ってしまえばいい。それから作曲、即興
演奏に取り組み始めた。目が見えていたら、バイオリニストにはなっていなかっ
たと思う」と転機を語った。演奏活動を始めてから、指を骨折したときには、限
られた指だけでも弾ける曲を作った。失明、けがなどの逆境をことごとくチャン
スに変えてきた穴澤さんは「諦めずになげやりにならなければ、遅れている人に
しか浮かばないアイディアもある。過去は変えられる。変えられると信じる事が
大切。きょう話したことが、少しでも子供達の記憶にのこり、辛い時に思い出し
てくれたらと願った。
穴澤さんはドラムスの高木將雄さん(34)と5曲を演奏した。見事な演奏の間
にはさむ軽快なトークと相まって、児童らは引き込まれていった。子どもたちも
よく知るアニメの主題歌なども披露。シャイニーメイツとの共演では子どもたち
と息を合わせた重圧感ある演奏に、会場は大きな拍手に包まれた。5年の大橋健
太郎君は「目が見えなくても、今まで頑張ってきたことはすごいことだと思った
。雄介さんみたいに、何事も最後まであきらめないで頑張っていきたい」と話し
ていた。